増加する必要資金
このところ開業資金の借り入れに苦労する話を聞きます。金融機関から希望額の借り入れができずに、開業計画を見直すこともあるようです。
その原因のひとつに開業資金の値上がりが挙げられます。建築資材が円安と物価高で値上がり、内装工事費用は高騰。併せて人手不足で人件費も上がりました。
医療用機器に関しても同様です。昔はCTを購入する方はごく一部でしたが、今は開業時から準備する先生が多い傾向に。さらに地価の高騰に伴いテナントの保証金や家賃も上がっています。このように開業に関係するあらゆる費用が値上がりして資金が跳ね上がり、その分、借入額も増える結果に。
20年前は5000万円の借り入れで開業するのが一般的でしたが、今は8000万円ほどかかります。つまり借り入れが昔の約1.6倍になっているのです。それに対して診療収入の増加はわずかです。保険点数も微増傾向ですが、借入金の返済を考えると到底及びません。
許容範囲で「小さく開業」
金融機関もその辺りの事情を把握していて、今は借入額を抑制する傾向になっている、というわけです。実際に、数年前テナント開業で8000万円を貸していた銀行が、今では6000万円までに下げてしまったケースも!
こうなると、開業する方も、内装工事や器械の金額を積み上げるだけでなく、借り入れできる額の範囲内で開業準備を行うことが現実的です。
特に東京(都心)で開業する人は、開業場所を十分に検討する必要があります。当然ながら駅に近く、利便性の良い場所は家賃が非常に高くなります。住宅地などあまり目立たない立地も良いとは言えませんが、物件探しはまず賃料を念頭に!敷地の大きさも大事な判断基準です。無駄に広い物件を借りようとすると金額も大きくなりますので、できるだけコンパクトな広さで検討しましょう。
開業後まで想像力を働かせて!
理想の医院を考え出すと、現実的に準備可能な開業資金を忘れてしまいがちです。好立地・最新の治療機器を揃えることのみを重視するのではなく、借りることのできる金額と返済スケジュールまでを考えて開業する時代になったことを理解しましょう。
さて、今年も残すところわずかとなりました。新しい年も“成功する開業”を目指して準備を進めていきましょう!
>>開業資金関連など、森川会計へのお問い合わせは
歯科開業・歯科経営サポート「税理士法人 森川会計事務所」
◆【事業計画の立案にも役立つ】適した開業地を総合的に判断「物件エリア調査」
「周辺の競合医院」「見込める患者さん数」「メイン患者さんの層」など、開業候補地を多角的に分析。融資の際にも役立つ『事業計画書』の作成にもご利用いただけます!