実務経験を積んでからの開業で注意する点は?
前回は若い年齢(早い時期)での開業について触れましたが、今回はさらに年齢や経験を重ねてからの開業について考えます。
最近は40歳を過ぎて開業する方も増えました。なかには50歳を超えてから開業なんて方も。このように遅めに開業する場合はどのようなことに注意すべきでしょうか。
<1> 若い先生に教えを乞う
自分より先に開業した若い先生に学びましょう!医院を見学させてもらう機会があれば、ぜひうかがって参考にしてください。先生に医院経営の悩みなども率直に質問しましょう。この時の注意点は自分より年下でも開業したのは向こうが先。複雑な心境も分からなくもないですが、相手がご自身より若い先生でも「開業医の先輩」として接することが大切です。
<2> スタッフや患者さんにやさしく接する
40歳を過ぎると歯科医師としてはもう一人前ですし、もちろん仕事も一通りできるので、全く悪気はなく勤務医の頃と同じような態度(言動)で、スタッフや患者さんに接してしまいがち。
ですが、またここでも「(自分は)開業医1年生」であることを自覚しましょう!自分はまだ若輩者だ、くらいの意識改革をしたほうが良いかもしれません。実際、勤務医として守られている状態と開業医では、さまざまな面で責任の重さや業務の範囲が違ってきます。
例えば、あるスタッフが退職したとします。そんな時、勤務医の立場なら、新たなスタッフが来るのを待つだけです。一方、開業医の場合はそうはいきません。ご自身で求人会社にお金を払って募集をかけ、候補者が決まったら、またご自身で採用面接を行います。そんな手間隙だけではなく、そもそも募集をかけても理想の人材が来てくれるとは限らないうえ、やっと採用しても1週間で辞めてしまう、なんていうことも実際にあるのです!
・・・というようなリスクを背負って雇用するので、少しくらい仕事がテキパキできなくても、むやみに怒ったりできない状態に。
もちろん、医院ごとにある程度の規律や指導は必ず必要ですが、できるだけスタッフにはソフトに接しましょう。経験のあるベテランの方は意識しないと、そういうつもりはなくてもつい偉そう?になってしまいがち!親子くらい年齢が離れていると仕方ないのですが、できるだけ腰を低くして丁寧に接することが大切です。これは患者さんにも同じことがいえますので、肝に銘じておきたいところです。
<3> 医院にかけるお金
開業の際、何かにつけついてまわる「お金」の課題ですが、何よりもまず考えなければならないことは「診療収入」です。
診療収入に対して過度にお金をかけると回収が難しくなります。逆にお金をかけなさ過ぎてもダメです。あまりに設備や見た目がみすぼらしいと患者さんも来てくれません。診療収入と医院にかけるお金のバランスを考えましょう。
<4> 「居抜き物件」はよく考えてから決断を
私の知る限り、45歳を過ぎて開業を考える方は、開業時<居抜き物件>を選ぶ傾向があります。手軽そうなイメージもあるこの居抜き物件ですが、実は医院の当たりはずれが大きいのも事実。物件の目利きできる方でないと逆に難しいのです。そういった理由もあり、基本、居抜き物件はあまりお奨めできません。
居抜き物件で開業されるなら、大規模リニューアルをおすすめします。実際、単に看板と壁紙を変えただけだと新患さんがこないケースが多いのです。
年齢を重ねてからの開業にもやはりハードルはつきものです。しかしそれを理解した上で挑戦することはとても大切。40歳以降で開業を目指されている先生方、ぜひ成功できるように頑張ってください!!
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