親子間承継の会計処理
今回は、親(大先生)が個人医院をリタイヤして子供(若先生)に引き継ぐときの会計処理についてお話します。早速、処理する際のポイントごとに見ていきましょう。
①売買として引き渡す
ユニットなど医療用器械を子供に譲渡する際は帳簿価額を基本とします。
この時、引き継ぐ子供が帳簿価額相当額の金銭を親に支払います。一括で支払わない場合は、親に対する借入金が生じることになります。親子間であっても金銭消費貸借契約書を作成し、毎月一定額を返済します。
返済をしないと親が亡くなった時、借入金が残ります。これは親にとって貸付金になるので相続財産として課税対象になることも忘れないようにしましょう。
②リース取引にする
売買にしないときは、器械一式をリースとして賃貸借契約をします。
子供はリース料としての費用が発生する一方、親は賃貸収入として収益になります。また、親の器械が貸付資産になるので減価償却費として費用計上できます。
老後に少しでも収入があると生活費の足しになるうえ、金融機関からの借入金が残っている場合は返済に充てることもできます。
③建物がある場合
医院用の建物が親名義の場合は、建物について賃貸借契約を結び、子供から親に家賃を支払います。この場合、子供は賃借料を費用として処理できます。親は家賃収入として収益計上して、建物を減価償却費に。借入金があれば支払利息を経費に計上します。
どちらの方法でも構いませんが、親が高齢である場合、借入金が返済されないまま相続が発生することもあります。そうなると相続税の対象になるので、親がある程度高齢の場合はリース取引の方が安心かもしれません。
タイミングを見計らうことも大切!
今回は事業承継時の会計処理についておさらいしましたが、親から子供に医院を引き継ぐ時は、親の健康や老後の資金を考慮することもお忘れなく。
また、子供にとってモチベーションを維持できる時期(タイミング)の問題もあります。円滑な承継のため、お互いにとってベストなタイミングを話し合いましょう。
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