大先生は納得するまで現役続行
予告どおり前回の続きを。「いずれは辞めようと思っているが、まだ体は元気なのでしばらくは続けたい」そんな場合の対処法についてです。
私が助言するのであれば、大先生はご自身の体調をみながら、『さすがにもうしんどいな』と思えるところまでとことんやっていただき、辞めたくなった時点でリタイヤするのが得策だとアドバイスします。今は平均寿命が延びた分、仕事をする年齢も高齢化しています。詰まるところ、ご自身が納得できるまで仕事を続けられるのが“いい生き方”ではないでしょうか。
引き継ぐ側=若先生にもリミットが
ただ、これにも問題があります。子供(若先生)の年齢です。
歯科の開業年齢は35歳ごろが多い傾向にあります。親(大先生)がギリギリまで診療をしていると、この開業年齢を超えることも多く、場合によっては子供が45歳を過ぎるまで親が現役、というケースも。歳を重ねるごとに子供のほうも承継のタイミングを失ってしまいます。
45歳で実家に帰るのも抵抗があるのに加え、気概がある若先生だと、もうとっくに他で開業していても不思議ではありません。
もし、承継しようとする親の医院がテナント開業でしたら一緒にやらなくても問題はないでしょう。家賃が発生するうえ、物件の老朽化も避けられません。よほどの好立地でなければ古いテナント物件でやる意味はあまり無いのではないでしょうか?
メリット多々「スープの冷めない距離」
一方、地方で広い敷地があり立派な診療所を築いていれば、手放すのはもったいなく感じますよね。親としてはできれば子供に引き継いでもらいたいのが人情です。このようなケースについても考えてみましょう。
やり方のひとつとしては、子供が30代で開業したければ実家の近くでテナント開業してもらいます。親の医院の近くで開業してもらえれば、いざ親が辞めようと思えば患者さんをそのまま引き継いでもらえるという利点が考えられます。
一緒にやるのは難しくても、少し離れた場所でやるならケンカもしません。親子間の場合、少し距離のある方が、互いに同業者目線で話すことができるので、かえって関係がよくなった方もいます。
また、親のリタイヤ後は古くなった親の医院を子供が建て替えることも可能です。親子承継では医院の建て替えで悩むことが多いので、活用できる方はこうした方法も念頭に。
このように、ひとことで「事業承継」と言っても、様々なケース・方法があります。親子でよく話し合い、お互いにとって良き方法を見つけてください。
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