承継関連の相談が増加中
前回「借入金」のお話をしましたが、やはり開業相談で多いのがそんな資金(お金)に関する内容です。そして最近増えているのが「事業承継」に関する相談です。
親子の事業承継はビジネスである一方、家族でもあるので難しいことが多いですね。事業承継が上手くいかず、親子の仲が疎遠になることもあるほどです。今回は、そんな親子間の事業承継をスムーズに運ぶポイントについて考えます。
承継する若先生は、まず「他の医院で働く」
まずは大先生へ。歯科医師免許をとった子供をいきなり自分の医院で働かせるのは避けましょう!親子だと距離感が近すぎる感が否めません。それが仇(あだ)となり、仕事を教えてもかえってうまくいかないケースが多々あります。ひとつ私が記憶する事例を挙げてみましょう。
とある医院では先生が患者さんに対してずっと“タメ口”で話しているのです。一切、患者さんと敬語で話すことがありません!ちょっと信じられませんよね。きけばその先生は、親の医院でしか働かずに開業したようです。先ほども書いたように、そうなるとどうしても親子の距離感を職場に持ち込んでしまい、仕事中のやりとり(会話)も敬語を使う習慣が無くタメ口が普通に…。いきなり親子で働くのは距離感が近すぎるのでお奨めできません。
若先生はやはり最初はできるだけ他の医院で働くことを奨めます。できれば技術力のある医院と規模の大きな医院の2つ経験できればベストです!
長くなるほど揉めやすく「引継ぎは1年以内に」
“武者修行”を終え、子供が戻ってきたら副院長に就任してもらいます。またまた大先生への忠告?ですが、このとき間違っても「子供に自分のやり方を覚えてもらう」と思わないことです!
自分のスタイルを鵜呑みに学ばせようとすれば、子供はたいてい嫌になり、不満が募ってしまうもの。教えるのは最低限にとどめましょう。聞かれたら答えるくらいで十分です。
あくまで患者さんの引継ぎをして、ひと通り終えれば親はリタイヤの準備を。期間は半年から長くても1年以内をめどに計画しましょう。この引継ぎ期間が長過ぎると子供と揉めやすくなってしまいます。
大先生の希望も考慮した承継対策を
大先生が「完全に引退してしまうのは嫌、辞めたくない!」というパターンもあります。そんな場合は、チェア1台のみ使わせてもらい予約帳も別に。大先生はご自分の患者さんだけを診て医院経営には一切ノータッチ!これが鉄則です。
引継ぎを終えれば子供を院長にして全て任せましょう。大先生としては心配なこともありますが、子供に継がせたのだから子供が担うべきです。もちろん失敗されることもありますが、それも含めて学んでもらいましょう!
ちなみに、このとき、親子が<父>と<娘>なら一緒にやってもうまくいくことがあります。それなら続けても良いのですが、父親と息子だと(なぜか)揉めやすい傾向にあるようです。そんな相性も、半年もやると分かるので、揉めそうなら親が引くことを考えましょう。そうしなければ、継がせたい子供のほうが出ていってしまう、なんていうことにもなりかねません。
でも、しばらく親が一線から退きたくないときはどうしたらいいでしょう?「いずれは辞めようと思うが、まだ体は元気なのでしばらく続けたい」という場合の対策は、次回お話します。
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