家族がスタッフとして働く場合の給与
先日、会計事務所を探されている方から、奥様の給与についての相談を受けました。その内容は「妻が自分の医院に勤務しているが、給与を支払うことに問題はないか」というもの。さて、読者の皆さんはどうお考えでしょうか?
このように配偶者に支払う給与を『青色事業専従者給与額』といい、生計を共にする配偶者や親族が、事業主が経営する事業に従事する場合に支払う給与です。「専従者」は届出書を税務署に提出する必要があり、尚かつその事業に専ら従事することが要件です。
少しくらい大丈夫?…が落とし穴
この“専ら従事”は、1年のうち1/2超の6ヶ月を超える期間を働くことが要件となります。例えば週5日勤務の医院の場合、3日以上働くのが目安です。そして、当然ながら「実際に働いていること」がポイントです。事実、本当に働いていれば給与を支払うことに問題はありませんし、給与の額は配偶者の業務内容と他の従業員の業務と照らし合わせて決めることになります。
逆に配偶者が実際には働いていないにもかかわらず専従者給与を支払うと税務調査で否認されることもあります。
以前、配偶者が他の事業所で毎日仕事をして給与を支給されているのに、自分の医院でも給与を支給していた医院がありました。言うまでもありませんが、他で給与をもらえば働いた証拠になり、税務調査で指摘されて否認されました。
こんな時に<内助の功>はお門違い
ぜひ覚えておいていただきたいエピソードをご紹介しましたが、冒頭の新規相談の方に話を戻しましょう。
ちなみにその方が今回ウチに相談にいらしたきっかけは、自院で奥様の給与を出したいと、現在お付き合いのある会計事務所さんに相談されたところ、やんわり否定されたからだと言うのです。
しかも「妻が夫の仕事を手伝うのは当たり前ではないか」といった理由だったとか。その発言にはさすがの奥様もカチンとこられたそうです。それはそうですよね、実際にちゃんと働いているのに…!こんなところで<内助の功>を持ち出すのは、私もちょっと違うかな?と思います。
そんな発言をしたご本人には深い意味もなく、単なる話の流れだったかも知れませんが、今は女性蔑視発言として捉えられることも珍しくありません。こういった問題で失脚することすらある時代。今回とりあげた専従者給与の問題を契機に、皆さんも奥様をはじめ、身近な女性への言動を今一度、振り返ってみてはいかがでしょう。