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Net Movie 歯科開業への道  ~成功への階段~

歯科開業NET小説 チャプター12 「開業・・・そして」

チャプター12 「開業・・・そして」

開院前の[いしだ歯科医院]。

診療室で朝礼をしている石田と桑原、早野、安川の各スタッフ。

やや離れたところで工藤が見ている。

「みんなのおかげで今日からいよいよ開業です。今日一日、そしてこれからもずっとよろしくお願いします。」

石田が3人を見ながら軽く頭を下げる。

「よろしくお願いします。」

声を揃えて元気よく声を出す3人のスタッフ。


何も分からないところからスタートした歯科開業への道。

M社の営業担当者工藤や税理士の森川先生をはじめ、多くの人に支えられてついに[いしだ歯科医院]が開院する。

ドアが開いて待合室に入ってくる患者さん。幼稚園ぐらいの子供を連れた母親らしき女性である。彼女らが記念すべき患者第1号となる。

「わぁ~、きれいな歯医者さん!」

子供が声をあげる。

「本当ね、歯医者さんじゃないみたい。」

あたりを見回して驚く母親。

「お早うございます!」

受付で安川が少し微笑みながら、2人に声をかける。

「今日はどうされましたか?」

受付に近付きながら母親が

「ええ、実は昨日から急に歯が痛み出して・・・」

自分の右頬に手を当てる。

「そうですか。それは大変でしたね。」

相手の気持ちになって、声をかける安川。

問診表や保険証の確認なども手際よくこなし、患者さんを診療室に誘導する安川。

診療室で、治療にとりかかる石田。

衛生士である桑原や早野もテキパキと石田のアシストを行う。

お互いの息もピッタリだ。

トレーニングの成果は確実に出ている。


患者さんは途切れることなく来院し、石田と3人のスタッフは忙しくしながらも丁寧に対応していく。どの患者さんも満足そうに帰っていくように思え、石田は自分の考えが間違っていなかったことを実感していた。

ふと気がつけば、午後の診療時間も終了し、石田は最後の患者さんを治療していた。

その患者さんを見送り、大きなため息を1つつく石田。

「石田先生、お疲れ様でした。」

後ろから笑顔で声をかける桑原、早野、安川の3人。

石田振り向きながら

「みんなもお疲れ様。何かあっという間の1日だったね。」

「本当に早かったです。」

3人からも安堵の声が聞かれる。

最後まで立ち会った工藤も笑顔で石田に近寄る。

「石田先生、改めておめでとうございます。」

「ありがとうございます。工藤さんには本当にお世話になりました。」

深々と一礼をする石田。

「今日、無事に開業できたのは工藤さんのおかげです。心から感謝しています。」

「いえいえ、私は何も・・・。いろいろな方が石田先生を応援して下さったから、うまく行ったんです。」

「本当にいろいろな方々にお世話になりました。感謝の気持ちは言葉では言い尽くせません。人との出会いって不思議なものですね。」

感慨深げに何度も頷く石田。

「でも石田先生、開業はこれで終わりではありません。今日がスタートです。今日この日を忘れないで下さい。」

「本当にそうですね。これからも変わらず頑張ります!」

石田、少し照れながら工藤に右手を差し出す。

「工藤さんは、私の掛け替えのない仲間。戦友と言ってもいいかも知れません。だから・・・これからもずっとよろしくお願いします。」

工藤、両手で石田の右手を握り返す。。

「ありがとうございます。こちらこそこれからもよろしくお願いします。」

2人、お互いに微笑みあう。

その時、入口のドアが開いて女性が中へ入ってくる。

「あ、すみません、今日の診療はもう・・・」

と言いかけて、あっと驚く石田。

入ってきた女性は新開聖子であった。

手には花束を持っている。

「石田先生、本日はおめでとうございます!」

石田に花束を差し出す新開。

その新開の後ろから、もう1人女性が顔をのぞかせる。

「成泰、お疲れ様!」

恋人の叶さなえである。

「さなえ・・・」

再び驚く石田。

「聖子さんと連絡をとって・・・きちゃった!」

笑顔で答えるさなえ。

それを見ながら新開も微笑む。

「はい、石田先生、受け取って。今日は所用でこられなかったけど、森川先生もくれぐれもよろしくって。」

「ああ、森川先生からは鉢植えが届きました。気を使っていただいて申し訳ありません。」

石田、花束を受け取る。

「私もお金出したんだからね。」

いたずらっぽく笑うさなえ。


その時、またドアが開いて今度は1人の男性が入ってくる。

手には紙袋を持っている。

「あ、古里。」

入ってきたのは、「帝塚山歯科」での後輩・古里であった。

人の多さに一瞬怯むが

「い、石田先生、本日はおめでとうございます。これ差し入れです。」

手に持った紙袋をおずおずと石田に差し出す。

「ああ、ありがとう。わざわざきてくれたのか。今日は千客万来だな。」

笑顔で紙袋を受け取る石田。

「院長先生もよろしくとのことでした。」

「そうか、院長先生も元気?また、近々ご挨拶に伺うから。」

古里、あたりを見回しながら

「それにしても綺麗な歯科医院ですね。羨ましいです。」

「あれ、古里は開業には興味がなかったんじゃないの?」

石田、意外な表情で古里を見る。

「いやぁ、以前は全然興味がなかったんですが、石田先生の話を聞いているうちにちょっと興味が出てきました。」

頭を掻きながら恥ずかしそうに白状する古里。

「お、ライバル出現か?。でも、少なくともこの近くで開業するのは勘弁してくれよな。」

石田、肘で古里を軽く小突く。

「そ、そんなこと、絶対にしませんよ~。」

悲鳴をあげる古里。

そんな古里を見て、大爆笑する一同。

なごやかな雰囲気の中で時が流れていく。


次回、最終回へ続く~

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