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歯科開業NET小説 チャプター02 「理想と現実」

チャプター02 「理想と現実」

石田の自宅。
パソコンの画面が開いていて、「One To One Club」からのメールが何件も表示されている。
画面に軽快な音とともに、ダイアログボックスが表示される。

「新規メールがあります。」

メールをクリックして開く石田。

すかさず、そのメールに返信する。


石田は開業に関する悩みについて、「One To One Club」へいろいろと質問を投げかけてみた。メールにはすぐに返信があり、そのうちメールの頻度は徐々に増えていった。

「One To One Club」から月に1度配信されるメールマガジンも、様々な情報が記載されていて、特にセミナー情報等は非常に役立っている。
そして、工藤賢治(くどうけんじ)と言うM社の営業担当者が、石田の開業をサポートしてくれることになった。


ファミリーレストランの一角で珈琲を飲んでいる石田と工藤。
「石田先生、私どもM社に何でもご相談下さい。出来る限りのサポートをさせていただきます。」
「ありがとうございます。いざ開業をしようと決意したのですが、何をどうすれば良いのか、皆目見当が付かなくて・・・」
「気持ちはよくわかります。皆さん、最初はそうですから・・・。」
ゆっくりと頷く工藤。

「いろいろと教えて下さい。工藤さんに期待していいですか?」

「はい、せいいっぱい頑張ります!」
笑顔で大きく頷く工藤をみて、ほっとする石田。
「それで石田先生、メルマガにも記載されていた、森川会計事務所 森川先生の[開業セミナー]ですが、参加されますよね?」

「はい、参加したいと思っています。」

「では、私が申し込みを済ませておきます。それと、セミナー開催後に個別相談会がありますので、そちらも是非ご参加下さい。」

驚く石田。
「え?個別相談会ですか・・・(コンサルなんかは200万円ぐらいとるくらいだし・・・)。あの・・・費用はいくらぐらいかかるのですか?」
躊躇しながらも聞いてみる。
「いえいえ、相談は無料です。ご心配はいりません。森川先生は歯科の開業を専門にされているので、いろいろなアドバイスをしてくれると思いますよ。」
「本当ですか?是非お願いします!」

笑顔で答える石田。

セミナー会場、多くの参加者がいる。
参加者には資料が配布され、石田も最前列で熱心に聴いている。
壇上では森川先生が講演を行っている。
「ですので、物件の平均的な広さは25坪です。」
「場所は住宅街かオフィス街かで、大きく変わります」
「1階が良いです。いくら良い場所でも2階はあまりお勧めできません」
インパクトのある説明で進行していく。


森川先生の「Web開業セミナー」はこちら


最後に、司会が壇上にあがる。
「森川先生、ありがとうございました。ではこの後、個別相談会を行います」


セミナー会場のコーナーで、石田と森川先生が話をしている。
「森川先生のお話を聞けてよかったです。目から鱗という感じでした。おかげで開業のイメージが何となくですがつかめました」
「ありがとうございます。それでは早速ですが、石田先生の開業プランをお聞かせ願いますか」
「はい、できれば自由診療だけの医院が理想なんです。サロンのようなデザインで、CTも完備していて、患者さんから『他の歯医者には行きたくない』って言われるようなカッコイイ医院です。」
少しの時間、考え込む森川先生。
「なるほど・・・お気持ちはよくわかります。ただ、自費だけでその医院を作るのは大変だと思います。石田先生、その医院を作るとしたら、最初から患者さんを連れてくることは可能ですか?」
意外な表情の石田。
「え?、どういうことですか?」
「開業当初は、自費の患者さんは僅かだと思います。ですので、今の勤務先の近くで開業して、そこから患者さんを連れてくるのであればできると思いますが・・・それは可能ですか?」
石田、首を振りながら
「今の医院の近く?とんでもない、院長に怒鳴られますよ(苦笑)。絶対に無理です・・・」
「そうですよね。それなら、まずは保険診療を中心とした医院を作るほうが現実的です。最初に保険の患者さんを確保してから、徐々に自費を増やしていきます。」
「はぁ・・・」

考え込む石田。
「それとCT完備となるとかなりのお金がかかりますが、資金の見込みはありますか?」
「いえ、全部銀行で借りようと思うのですが・・・」
「全額ですか?」
「はい」
「ご両親からお金を出してもらうことや、担保に出せる土地などはありますか?」
「いや、そんなの全然ありません。親は普通の会社員ですから。」
ゆっくりと腕組みをする森川先生。
「石田先生、それだと希望額の融資は難しいと思います。理想の医院のイメージは良いと思います。ただ、現実に借りられるお金とすり合わせて、事業計画を作っていく必要があります。」
神妙な顔つきの石田。


理想と現実のギャップを思い知らされた石田は、自分の頭の中に描いた開業のイメージがどんどん壊れていくのを感じていた・・・これからどうなっていくのか、開業への道はまだ開かれないままである・・・


次回へ続く~

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