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分院を出すべきか迷ったときに、
知っておきたい分院展開後の注意点

分院を出すべきか迷ったときに、知っておきたい分院展開後の注意点NEW

2026/08経営安定化の秘訣
ポイント
  • ・分院展開は「採用・教育・品質管理」の面で経営難易度が非常に高い
  • ・勤務医の採用コストと離職リスクが、分院経営の中長期的な重荷になる
  • ・拡大を目指すなら、リスクの低い「1 拠点の拡充」がおすすめ

最近、駅前の商業ビルで歯科医院の分院を見かける機会が増えました。中には 10 店舗以上の分院を展開している医療法人もあり、経営を軌道に乗せている先生方の 手腕には本当に敬服いたします。

しかし、顧問先の院長先生方から「うちもそろそろ分院を出そうかと思っているのですが……」とご相談を受けた際、私は基本的にお勧めせず、「やらない方がいい」とお伝えしています。

分院展開は、理想的なステップアップというイメージとは裏腹に、非常に経営難易度が高い戦略だからです。

課題①:「勤務医の採用と定着」に潜む経営リスク

分院経営における大きな課題の一つとして、「勤務医の確保と定着」が挙げられます。

今はどの業界も人手不足の時代で、歯科業界においてもそれは例外ではありません。 自力での募集ではなかなか応募が集まらず、人材紹介会社へ高額な手数料を支払ってようやく勤務医を採用できた、というケースも珍しくありません。

さらに、採用できたとしてもすぐに即戦力として活躍できるわけではありません。 臨床経験や医院の方針への習熟度を考慮すると、最初の 1 年目はどうしても給与に対して十分な生産性を上げることが難しいのが現実です。 2 年ほどかけて教育し、ようやく採算が合うようになれば上出来と言えます。

しかし、業務を一通りこなせるようになり、医院に貢献してくれる 3 年目あたりは、勤務医自身が独立や開業を意識し始め、退職が増えていく時期でもあります。

手塩にかけて育てたドクターが次のステップへ踏み出す際、引き留めることはできません。新たな門出を気持ちよく見送るのが院長としての役割ですが、問題はその「後任」です。

タイミングよく次の勤務医が見つかれば良いですが、求人難の時代、長期間空席になってしまうことも少なくありません。 後任が決まらなければ、結局は理事長である院長先生ご自身が本院と分院を往復し、診療を掛け持ちする過酷なスケジュールを強いられることになります。

課題②:「目の届かない場所」で生じる診療クオリティ維持の難しさ

2 つ目の課題は、「診療レベルの維持とガバナンス」です。

本院であれば、院長先生の目が届く範囲で勤務医の診療を確認できます。アドバイスや指導もその場で行えるため、医院全体の診療クオリティや対応方針を高い水準で揃えることが可能です。

しかし分院となると、物理的に離れた場所で勤務医がどのような診療・患者対応を行っているのか、リアルタイムで把握することは不可能です。 院長先生の理念や診療方針からズレが生じていても気づきにくく、気付いた時には患者様からの信頼に関わる問題に発展していた、というリスクも潜んでいます。

診療の質とサービスの統一感を保つためには、やはり同じ空間で直接背中を見せながら指導する環境が理想的なのです。

「1 つの医院をより大きくしていく」という選択肢

もし医院の規模を拡大し、より多くの患者様を受け入れたいと考えているのであれば、分院を出すのではなく「今の 1 拠点を広げていく」アプローチをお勧めします。 まずは下記の点から今の医院の拡大が出来ないか、検討してみましょう。

・既存テナントの拡張:隣の区画や上下階の空きが出たタイミングで契約し、増床する

・敷地内での増築・改修:戸建て医院であれば、2 階部分の改修や敷地内への増築でユニット台数を増やす

それでも、どうしてもスペースが足りなければ、同じ生活圏内の広い場所へ移転することを検討しましょう。

ひとつの大きな空間で医院を拡充していくことで、院長先生の目が広く行き届くため、医療の質を高く保つことができます。

万が一、勤務医が退職するような事態になっても、ひとつの医院内であれば院長先生や他のスタッフでフォローしやすく、診療をストップさせることなく継続できます。

拠点を増やすリスクを避け、まずは「1 つの医院をより強固で大きな拠点に育てる」こと、これこそが将来にわたって安定した医院経営を続けていくための、確実なロードマップだと考えています。

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