35歳までの決断が、老後のゆとりを左右する
皆さんは何歳で開業しようと思っていますか。
歯科医師の先生方から開業相談を受ける際、私は常に「できるだけ早い時期の開業」をお勧めしています。具体的には30歳から、遅くとも35歳までが理想的なタイミングであると考えています。
しかし、近年の傾向としては、40歳を過ぎてから開業に踏み切る先生が増えているように感じます。
なぜ「40代開業」が増えているのか
その背景には、社会全体の「晩婚化」が大きく影響しているのでしょう。 かつては20代後半から30代前半での結婚が一般的でしたが、現在は40歳前後で家庭を持つことも珍しくありません。
独身の間は生活費が多くかからないので、勤務医としての給与でも十分にやっていけます。そのため、経済的な動機による開業への切実さが、若い時期には生まれにくいのかもしれません。
しかし、結婚して家庭を持つと状況は一変します。生活費の重みを実感し、「家族を養い、将来に備えるためには、やはり開業しなければならない」という強い動機が、40代になってから芽生えるケースが多いのです。
支出が重なる40代以降の負担
40代以降の開業には、特有の財務リスクが伴います。開業後に医院が軌道に乗ったとしても、そこから長く重い支払いが続くからです。
主な固定支出例
仮に45歳で開業した場合、20年後はすでに65歳。一般的にはリタイアを意識する年齢です。しかし、この時点で住宅ローンが残っていたり、最新の医療機器への買い替えで新たな融資を受けていたりすれば、引退したくても辞められない状況に陥ります。お子様がまだ学生であれば、さらに教育資金の負担も重くのしかかります。
30代開業がもたらす「お金の貯め時」
一方で、30歳前後で開業した場合はどうでしょうか。
若いうちに開業し、同時期に家庭を持てば、人生における大きな支出イベント(ローンの完済や子供の自立)を早い段階で終えることができます。
特筆すべきは、「子供が社会人になってから、自身が65歳を迎えるまでの期間」です。
ここが人生で最もお金が貯まる時期になります。この時期にしっかりと蓄えを作っておくことで、リタイア後には悠々自適な生活を送ることが可能になります。
「働かざるを得ない老後」を避けるために
開業が遅くなればなるほど、老後になっても「働かなければならない」という制約に縛られるリスクが高まります。
「生涯現役」として自発的に働くことと、ローンの返済のために「働かざるを得ない」状況にあることは、精神的な負担が全く異なります。
イソップ童話の「アリとキリギリス」ではありませんが、早い段階で基盤を築き、将来の備えを終えておき、できれば早めに開業してリタイア後を楽しく過ごせるようなプランを立てることをお勧めします。
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