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開業マニュアル - START UP ガイド

第1章 開業に向けての基本計画

第1章 開業に向けての基本計画

1-1 開業は戦いだ!

 森川会計事務所 税理士 森川 敏行
開業に向けての基本計画のイメージ

開業は人生をかけた戦い

今まで250件以上、歯科医院の開業に関与しましたが、開業前の打ち合わせはいつも
楽しい。目をキラキラさせて自分のプランを話してくれて、思わず身を乗り出して聞き
こんでしまう。開業の相談はまさに理想の夢を聞く時間です。

歯学部に入り、将来は歯科医になることを決意。苦労して勉強して、晴れて国家試験に合格。勤務医になって、一生懸命働きながらようやく一人前に。そしてついに自分の医院を持つことに。

開業すると患者さんの反応をダイレクトに感じます。勤務のときより、喜びや感謝が強く伝わる。その分責任も重く、身を引き締めながらの診療になります。

また開業に成功すると、お金も稼げて生活も楽しくなります。自分が選んだユニットを使い、好みのデザインの院長室。忙しい日もあるが、誰に指図されることもない、まさに一国一城の主。

お金に余裕があると、好きな車も買えます。ベンツ・BMWを購入する人は珍しくありません。結婚して子供が生まれると、マイホームも必要になります。都内はマンションが多いですが、地方は戸建てが当たり前。庭付きで車2台置ける広々とした一軒家。開業して5年もすると生活は一変します。

逆に開業がうまくいかないと、生活はとても苦しくなります。通帳から預金がなくなっても、銀行は追加融資をしてくれません。実家に借り入れを頼むことになります。それで軌道に乗ればいいですが、資金がつきると医院は終わります。無一文どころか借金を背負うことに。勤務医に戻っても返済は容易ではありません。まさに天国と地獄。

開業は自分の肉体と知識と資金をつぎ込んで挑む、まさに人生をかけた大勝負。絶対に負けられない戦い。だからこそ絶対に勝てる戦略で、開業に挑んでほしいのです。

開業は早い方がいい

あなたはいくつで開業する予定ですか?

20代で若く開業する人もいますが、50歳過ぎでようやくという人もいます。開業する年齢によって人生は大きく変わります。

開業を考えてから、実際に行動するまで時間がかかる。気に入った物件が見つからないまま1年以上経過する人や、勤務経験が5年あってもまだ開業に踏み切れない人。中には景気がよくなれば開業するといって、先延ばしになる人もいます。

僕が開業の相談でいうセリフがあります。それは「開業は若いうちにした方がいい」

理由は、若い年齢で開業した人の方が、早くに軌道にのることが多いからです。逆に45歳以降で開業して苦戦する率が高かった。それにはこんな理由があります。

テンションが高い

小さな子供を見るとテンションが高いのがわかります。自分を思い出しても、明らかに子供の時の方が高かった。20代になっても友達とハイテンションで何時間も話して、いまと比べると常にアドレナリンが出ていた気がします。若い時はテンションが高く、30歳あたりから徐々に落ちます。

開業はこうしたテンションがすごく大事で、スタッフみんなに「がんばろう!」と熱く語ることが大切。その気持ちを伝えて医院を盛り上げていきます。高いテンションで気力十分だと元気な医院をつくることができます。

このエネルギーは年齢が経つにつれ落ちてくる。年をとっても元気な人もいますが、それは元々がすごく元気な人です。

集客力がある

若く開業した方が、医院の集客力があります。

これは患者さんの立場から考えてみましょう。30歳女性の患者さんにとって、30歳の先生と60歳の先生だと、どちらが話しやすいでしょうか。診療はともかく、間違いなく30歳の先生の方が話しやすいです。

では60歳の女性が、30歳と60歳の先生だと、どうでしょう。これは60歳がいい、若い30歳がいい、2つに分かれるのではないでしょうか。

自分と年齢が近い方が話しやすく、離れても年下の方が気軽に話せる。逆に年上だと気をつかいやすい。そう考えると年齢の若い方が、幅広い層から話がしやすいからです。つまり若いと間口が広く集客力があるということです。

診療がメインなので、話しやすさが目的ではありませんが、集客力の差があることを理解しましょう。

長く続けられる

「なるべくお金をかけないで開業したい」とある50歳で開業希望の方が口にした言葉です。また別の47歳の方は、居抜きで開業したいという希望も。

この気持ちはよくわかります。開業してもバリバリやれるのは、あと10年か15年だろう。だから沢山の借金は背負いたくない。無理もしたくない。そんな気持ち。

ただ患者さんからしたらどうでしょう。この医院はきっと苦労して開業したのだろうな。小さな医院だけど行ってみよう。そんな風に思うでしょうか。目立たない医院だと思って通り過ぎるだけ。そもそも気づかれないかもしれない。あなたが街を歩くとき、ひっそりとした飲食店や美容院を通るのと同じ。気にもかけない。

豪華じゃなくてもいいですが、周りからあっといわれる医院をつくりましょう。

30歳で開業すれば65歳まで35年ある。15年で借金を返せば、余裕が生まれる。中には移転して、さらに大きな医院をつくることも可能。そういう意味では、若い開業は武器です。

遅く独立する人はこれらを意識して開業します。できるだけ明るく前向きな話をします。本当は話しにくい、というのを頭に入れる。その分、患者さんやスタッフにやさしく話す。お金をかけて、明るく入りやすい医院をつくる。それを心がければ経験がある分、若い人には負けません。

開業に成功する人

開業に多く携わっていると、開業前の会話で成功しそうな傾向がある程度わかります。

成功しそうな人の特徴をあげてみると。

笑顔の人

話をしていても常に笑顔が絶えない人です。いわゆるえびす顔。いつもニコニコしている人は、それだけで人が集まってきます。勤務時間中は笑顔で接するようにします。

会話のキャッチボールが上手な人

話していても、相手の話をきちんと聞いて、それに対する返しも上手な人です。きちんとした答えがなくても「へえ~」「そうなんですね」「すごい」といった相槌が大切。相手が話しやすくなり会話がはずみます。逆に相槌がないと話すのがつらくなり、不愛想だとさらにきびしい。

礼儀正しい人

「今日はありがとうございます」

こんな風に礼儀正しく話せる人は、患者さんからの好感度が上がります。正しい敬語を使えなくても、礼儀正しさは伝わります。ていねいに接すれば、不快にさせることはありません。逆に患者さんタメ口で接すると、ある程度の患者さんとは仲良くなっても、「なれなれしい」と何割かの支持は得ることができません。

「開業マニュアル」冊子で、じっくりご覧いただけます。
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