令和2年の個人歯科診療所の収益構造
◆売上約5,000万円に対して、利益は約1,600万円(利益率:33%)
調査対象施設数:158施設
平均ユニット数:3ユニット
■さらに必要な支出
利益が院長(開設者)の収入になりますが、ここから、保険・税金・各種借入返済を行う必要があります。
また、建物・設備の改善・改修などの費用もここからの捻出となります。
■前回調査との比較
前回調査(2年前・利益約1,400万円)より売上は伸びています。
但し、令和2年の売上には新型コロナ補助金(約100万)を含みます。
■キャッシュフローについて
支出に減価償却(約360万円)を含みます。減価償却は、現金での支払いは無いので現金として手元に残りますが、資産に計上した設備の購入資金を借入で調達していた場合は、借入返済が発生します。
手取り・税金・保険は?
調査結果通りの収益が上がった場合の税金・保険などを算出し手取り金額を試算しました。
実際は、家族構成などにより控除金額などに違いがあります。
◆5,036万円の売上の場合、手取りは約1,140万円(22.6%)
◆税金などの明細(試算)
扶養条件:妻の給与所得103万円以下とする。子供(高校生)1人。
森川先生から一言!!『利益は診療収入の30%~40%』
今回の統計データについて税理士の森川先生からコメントをいただきました。
歯科医院の一般的な利益は診療収入の30%~40%が目安になります。
売上(診療収入)で5,000万円を達成するには、保険診療だけでなく全体の2割程度が自費診療になる必要があります。
売上(診療収入)が軌道に乗るまでに、早いところで半年ほど。一般的には1年から2年ほどかかります。
開業時の借入金は5,000万円程度が多いですが、医療用器械を充実させる傾向があるので、借入金も増えつつあります。
用語・単位について
参照データ
賃金構造基本統計調査とは:
病院、一般診療所、歯科診療所及び保険薬局における医業経営等の実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として、 中央社会保険医療協議会が実施したものである。
1ヶ月の調剤報酬明細書の取扱件数が300件以上の 薬局を対象とし、これらの医療機関等を、地域別等に層化し、次の抽出率で無作為に抽出した施設を調査客体とした。
統計上は、医療法人の事業所のデータが含まれますが、ここでは、開業直後の先生方と同じと思われる個人経営医院のデータのみ集計しました。